小説・日本参戦13

 大輔は特別狙撃犯に配属された。この間も中国陸軍はじわじわと南下していた。

 中国旅順港からは、巡洋艦「青島」「深圳」のほか、駆逐艦「丹東」「昭通」に加え、原子力空母「普級」をはじめとする多数の艦船が日本を目指していた。輸送船の数も普通ではなかった。輸送船には「99式戦車」が積載されていた。「99式」はレーダー誘導兵器が搭載されている。中国軍部隊は東京まで100キロの高崎地点まで侵攻していた。小松基地や宮城、新潟からは連日、Pー3C対潜哨戒機が出動した。同じく、小松や、ほかの基地からは、戦闘機であるF16やF15が迎撃した。しかし、あまりに、相手の火器は強力だった。迎撃ミサイルは充実しており、なす術がなかった。

 そうして、安康空軍基地から飛来した数機のH-6爆撃機によって、大阪はついに火の海になり、東京周辺にまで被害が出はじめた。

 事ここに至って、国会の承認を経て、首相は、アメリカ大統領に電話をかけた。

「大統領閣下、日米安保条約に乗っ取り、貴国の参戦をお願いする次第です。どうか、日本を救ってください」

 首相は、涙声で大統領に懇願した。大統領は、確信に満ちた口調でいった。

 「わかりました。永年、思いやり予算でやってくれていたのだから。友人を助けるのはアメリカにとって義務だ。共和党は、私が何とか説得しよう」