小説・日本参戦17

特別狙撃班に配属された大輔は、敵が前橋市に到達したことを知った。すでに、軍曹に昇進していた彼は、防衛省本部での会議で明らかにされたのだ。会議は長引いた。結局、前橋市内の敵から10キロの地点にあるビルに前線本部が設置されることになった。長い車列が防衛省から出発した。その軽装甲軌道車の二台目に乗った大輔は、防衛省の中庭を見た。そこには台車に乗った迎撃用ミサイル、パトリオットが上空を睨みつけている。防衛省パトリオットを国会議事堂、首相官邸周辺に配備した。

 そして日本にとって最も大事な人物がいる皇居にも。天皇は日本にとってかけがえのない象徴だ。先の大戦で日本が講和を受け入れる際の必須の条件は「国体の護持」だった。「国体の護持」とはなにか?それは、天皇制の存続だ。天皇を悪くいう人は、あの戦場での劣悪な行為の数々や、国内にいる圧倒的な数の国民は(一部には陰ながら天皇批判した非国民もいたかもしれない)天皇を敬い、深く愛していたのである。