小説・日本参戦10

問題は、潜水艦、および、上陸用の艦艇を見逃したことだった。中国の主力艦隊はいわばおとりだったのだ。中国の主力艦隊は、博多に向かっていた。それは、哨戒機も確認している。自衛隊の幹部は、その主力艦隊の動きから博多上陸説に傾いた。

 その隙をついて、多くの艦船に、夥しい戦闘車両を満載し、輸送船に乗り込む多数の中国軍の兵士は、なんと福井に向かっていたのである。防衛相首脳は、完全に裏をかかれた。福井には原発がある。日本はそう易々と攻撃ないだろう。という読みが中国にはあったのだ。それに気づかなかったのは、失態といわれても致し方ない。上陸した中国兵の数は、二十万を優に越えていた。